転職の面接で仕事を休むには?有給の理由の伝え方と、断られた・有給がないときの方法

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転職活動や面接のために仕事を休むなら、まず年次有給休暇(年休)を使えます。年休を何に使うかは自由で、会社は目的によって年休を断れず、労働基準法第39条にも理由を伝えるよう求める定めはありません。会社が年休の日を変えられるのは、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合です(時季変更権)。当日など急な申請は、仕事に差し支えるおそれがあれば日を変えられることがある(理由を聞かれて答えなかった例も)ので、面接の日が決まったら早めに申請します。

1日休めないときは半日・時間単位の年休、年休がまだ無いときは欠勤や代休、休まずに済ませたいときは面接の時間の相談、の順に考えると整理しやすくなります(早見表)。仮病や身内の不幸のような事実と違う理由は、すすめません(理由)。

この記事は、労働基準法の条文、最高裁判所の判決、厚生労働省の資料で確かめた内容で書いています。体験談や「休む理由」の言い訳集は載せていません。

この記事の法令・制度・統計・各社の情報は、2026年10月26日にe-Gov法令検索・裁判所・厚生労働省・各社の公式サイトで確かめた時点のものです。

早見表:状況ごとの休み方

状況まずすること
年休が残っている休む日を決めて年休を申請する(理由の伝え方と例文)
上司に「その日は困る」と言われた別の候補日を出し、応募先と面接の日を決め直す(時季変更権)
1日は休めない半日・時間単位の年休が会社にあるか確かめる(半日・時間単位)
年休がまだ無い・使い切った欠勤・早退として申し出るか、代休を使えるか確かめる(年休が無いとき)
仕事を休みたくない始業前・終業後・オンラインの面接を応募先に相談する。転職エージェントに日程の調整を任せる方法も(休まずに受ける・転職エージェントの表)
本当の理由を言いたくない事実と違う理由は使わず、面接の日が決まったら早めに年休を申請する(嘘の理由)
目次

有給休暇(年休)の目的は自由:理由の伝え方と、急な申請の注意

年休は、雇い入れから6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤した人に10日生まれる権利で、法定の要件を満たせば当然に発生します(労働基準法第39条第1項・確かめよう労働条件)。会社は、労働者が請求する時季に年休を与えなければなりません(同条第5項)。理由については、次の判決と厚生労働省の説明があります。

  • 最高裁判所の判決(昭和48年3月2日、第二小法廷、昭和41(オ)1420):「年次有給休暇における休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である」(裁判要旨)
  • 同じ日の判決(昭和41(オ)848):持っている年休の日数の範囲内で、休む日の始まりと終わりを特定して指定したときは、客観的に第39条のただし書きの事由(事業の正常な運営を妨げる場合)があり、かつそれを理由に会社が時季変更権を使わないかぎり、その指定で年休が成立し、その日に働く義務がなくなる(裁判要旨を編集部が言い換え。判決のころの条番号は第39条第3項)
  • 厚生労働省:年休をどのような目的でとるのかは労働者の自由で、会社はその目的によって年休の取得を拒めない(確かめよう労働条件)

このため、前もって申請するなら、転職活動中であることを会社に伝えるかどうかは自分で決められます。申請書に理由の欄があれば、「私用のため」のように事実のとおり短く書けば足りる、と編集部は考えます。

当日など急な申請と、申請の期限

急な申請には注意が要ります。厚生労働省の確かめよう労働条件が関連する判例として紹介する最高裁判所の判決(此花電報電話局事件、昭和57年3月18日、第一小法廷)の事案は次のとおりです。労働者は、勤務が始まる前に人を介して、当日の年休を請求しました。会社は、事業の正常な運営を妨げるおそれがあると判断したうえで、事情によっては認めるのが妥当な場合もあると考えて、理由をたずねました。労働者が理由を明らかにすることを拒んだため、会社は請求を不承認とし、判決はそれを、その事情のもとでは適法な時季変更権の行使としました。

事業の正常な運営を妨げるおそれがある当日の請求という事情を前提にした判断で、理由を言わないことだけで年休を断れるとした判決ではない、と編集部は読んでいます。

同じ判決は、交替で勤務する職場の「交替服務者が休暇を請求する場合は、原則として前々日の勤務終了時までに請求する」旨の定めも、労働基準法第39条に違反しないとしています。申請の期限を就業規則で決めている会社もあります。常時10人以上の労働者を使用する事業場には就業規則を作って労働基準監督署に届け出る義務があり、休暇は就業規則に書かなければならない事項です(労働基準法第89条・確かめよう労働条件)。厚生労働省のモデル就業規則(会社が就業規則を作るときのひな形。令和7年12月版)も、年休を「労働者があらかじめ請求する時季に取得させる」と書いています(第23条第3項)。

面接の日が決まったら、就業規則の期限に合わせて早めに申請するのが確実です(編集部の見方)。半日・時間単位の年休があるか、欠勤の手続きなども、このとき就業規則でまとめて確かめておきます(確かめることの一覧)。

事実と違わない言い方の例(6つ)

例文は編集部が作ったものです。日時や名前は自分の予定に置きかえてください。

場面言い方の例根拠
1日休む「◯月◯日に年次有給休暇を1日いただきます。私用のためです。急ぎの件は◯◯さんにお願いしてあります。」年休の節の判決と厚生労働省の説明
前もって申請して、理由をくわしく聞かれた「私用のため、内容は控えさせてください。」同上。ただし当日など急な申請は、仕事に差し支えるおそれがあれば日を変えられることがある(理由を聞かれて答えなかった例も。急な申請)
午後だけ休む「◯日の午後を、半日の年次有給休暇にさせてください。」半日単位は、会社が同意した場合にとれる(半日・時間単位)
2時間だけ抜ける「◯日の15時から2時間、時間単位の年次有給休暇をとります。」労使協定がある会社でとれる(同)
「その日は困る」と言われた「では、◯日か◯日ではいかがでしょうか。」会社は別の時季に与えることができる(時季変更権)
年休が無い日に早退する「◯日は私用のため、15時で早退させてください。」早退は事前に申し出て承認を受ける、とするモデル就業規則の例(欠勤・早退)

上司に「その日は困る」と言われたら:時季変更権のしくみ

会社が年休の日を変えられるのは、請求された時季に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」です。条文は、その場合に会社は「他の時季にこれを与えることができる」としていて(労働基準法第39条第5項ただし書き)、年休そのものを無くす定めではありません。

  • 事業の正常な運営を妨げるかどうかは、その人が所属する事業場を基準に判断する、とした最高裁判所の判決があります(昭和41(オ)1420の裁判要旨。判決のころの条番号は第39条第3項ただし書き)。厚生労働省は、裁判例では事業の規模・内容、担当する作業の内容・性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行などを考慮して客観的に判断すべきとされている、と説明しています(確かめよう労働条件)
  • 時間単位の年休について厚生労働省は、単に「忙しいから」という会社の主観的な理由だけでは請求を拒めないとしています(確かめよう労働条件)

転職の面接は、応募先と日を決め直せることもあります。日を変えてほしいと言われたら、別の候補日を2〜3日出し、応募先とも面接の日を合わせ直すのが現実的です(編集部の見方)。納得できない扱いが続くときは、総合労働相談コーナー(各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などの378か所。予約不要・無料)に相談できます。

1日休めないときは、半日・時間単位の年休

  • 半日単位:年休は1日単位が原則で、半日単位は、労働者が希望して会社が同意した場合に、1日単位の取得の妨げにならない範囲でとれます(厚生労働省「年次有給休暇制度の概要等」)
  • 時間単位:事業場の過半数の労働組合(無ければ過半数の代表者)と会社が書面で協定(労使協定)を結び、対象になる人の範囲と日数を決めていれば、年5日までの範囲で、時間を単位に年休をとれます(労働基準法第39条第4項)。1時間に満たない単位(30分など)ではとれません(確かめよう労働条件)

面接の時間に移動の時間を足して、半日か時間単位で足りるかを見積もります。時間単位の年休は年5日分までなので、選考が進んで面接が続く時期のために残しておく考え方もあります(編集部の見方)。

有給がまだ無い・足りないとき:日数の確かめ方と、欠勤・代休

年休は入社から6か月たって初めて生まれ、その後は1年ごとに増えます(労働基準法第39条第1項・第2項)。会社は基準日をそろえて法律より早く与えることもできるので(モデル就業規則第23条の解説)、まず自分の残日数を確かめます。

スクロールできます
勤続年休の日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

出勤率が8割以上の場合の日数(出典:厚生労働省「年次有給休暇制度の概要等」、労働基準法第39条第2項の表)。週の所定労働日数が少ない人は、日数が少なくなります(同条第3項)。

国の調査では、2024年に会社が与えた年休は1人平均18.1日(前年からの繰越を除く)で、取得したのは12.1日、取得率は66.9%でした。残日数のすべてを自分で選べるとは限りません。5日を超える分は、労使協定で会社が日を決めている場合があり(計画的付与。労働基準法第39条第6項)、同じ調査で計画的付与の制度がある企業は40.8%でした。また、年10日以上の年休が与えられる人には、会社が5日について時季を決めて取らせる義務があり(同条第7項。自分で取った日数の分は決めなくてよい=第8項)、会社は労働者の意見を聴いて時季を決めます(モデル就業規則第23条の解説)。

出典:厚生労働省 令和7年就労条件総合調査 結果の概況(労働時間制度・報道発表資料)。対象は常用労働者30人以上の民営企業(6,448社を抽出し、3,820社の有効回答)。取得日数は1年間に実際に取得した日数、取得率は、取得した日数の計÷与えた日数の計。

年休が無い日に休むとき:欠勤・早退

年休が無い日に休むと、会社にほかに使える休暇が無ければ、欠勤や早退として申し出ることになります。モデル就業規則は、遅刻・早退・欠勤や、勤務時間中の私用の外出は、事前に申し出て承認を受ける例を示し(第18条)、働かなかった日や時間の賃金は支払う必要がなく、その分を減額できると解説しています(第45条)。

代休・振替休日は、会社の決まりに沿って使う

モデル就業規則の解説では、振替休日は、業務の都合で休日と勤務日をあらかじめ入れ替えること、代休は、休日に働いたあとで、その代わりに特定の勤務日か労働者が希望する勤務日の働く義務を免除する制度です。どちらも会社が決まりに沿って使う制度なので、面接の日に合わせて使えるかは会社しだいです。

仕事を休まずに面接を受ける:時間の相談と、転職エージェントの日程調整

休む日を増やしたくないときは、応募先に在職中であることを伝え、始業前・終業後やオンラインでの面接ができないかを相談する方法があります。応じるかどうかは応募先しだいです(編集部の見方)。

勤務時間中に外回りなどを装って面接に行くのは、すすめません。モデル就業規則は、守ることの例に「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと」を挙げています(第11条)。在宅勤務の日に勤務時間中のオンライン面接を受けるときも、時間単位の年休を使うなど、会社の決まりに沿って時間を空けます(編集部のすすめ)。

転職エージェントに面接の日程の調整を任せる

転職エージェントの中には、応募先との面接の日程の調整を担当者がするところがあります。当サイトの「転職エージェントおすすめ13社を比較」で総合型とした5社のうち、公式サイトで確かめられた3社の記載は次のとおりです(50音順)。

サービス面接の日程の調整担当者との面談
マイナビ転職エージェント応募後は、面接の日程の調整や、面接の詳細・追加の求人情報の案内を、メールや電話でサポートすると案内(転職サービスの流れ)Webや電話で面談し、希望すれば一部のオフィスで対面もと案内。同じページのよくある質問は、社内の面談ルームが基本で、Webや電話でも行うと回答。時間は拠点によって違い、仕事帰りの遅い時間や、拠点によっては土曜も対応(同)
リクルートエージェント(PR)面談を経て、求人の紹介から応募の対応、面接の日程の調整、面接対策、条件の交渉までサポートすると案内。面談なしでサービスを始める場合もある(リクナビNEXTとの違い)キャリアアドバイザーの面談はオンライン(Zoom)や電話と案内(同)
ワークポート面接ができる日時を伝えるだけで、面接の日時や場所の確定、持ち物の確認まで行うと案内(転職支援サービスについて)カウンセリングは対面・オンライン・電話から選べ、平日の夜間や土日祝も対応と案内(転職支援サービスの流れ)

doda・エン エージェントは、今回は公式サイトを開いて確かめられなかったので、表に入れていません。(PR)は当サイトが紹介料を受け取るリンクです。

面接の候補を伝えるときは、年休や半休をとれる日と、始業前・終業後などの時間帯をまとめて伝えると、調整のやりとりを減らしやすくなります(編集部の見方)。

当サイトの比較の記事へ移動します。面談・書類・面接・連絡・期間を、各社の公式の記載で並べています

仮病や身内の不幸を理由にするのは、すすめない

年休の目的は自由なので(年休の節)、事実と違う理由を作る必要はありません。年休が無い日も、事実のとおり私用として欠勤や早退を申し出られます。

慶弔休暇や病気休暇は、法律で決まった休暇ではなく、会社が任意に設ける特別休暇です。モデル就業規則の例では、慶弔休暇は本人の結婚や家族の死亡などのとき、病気休暇は私的なけがや病気で療養が必要なときに与えるとしています(第30条・第31条)。けがや病気で続けて休むときに医師の診断書を求める例もあります(第18条第3項)。

事実と違う理由で休んだことが懲戒にあたるかは、この記事では判断しません。懲戒は就業規則に定めた事由によってしかできないとモデル就業規則の解説は最高裁判所の判決を引いて説明し(第68条)、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は無効とされます(労働契約法第15条)。どう扱われるかは、勤め先の就業規則と事情しだいです。

面接の予定が入ったら確かめること

  • 年休の残日数と、そのうち計画的付与や、会社が意見を聴いて時季を指定した分(年5日の時季指定)で日が決まっている分
  • 半日・時間単位の年休が会社にあるか(就業規則・労使協定)
  • 年休の申請の期限と方法(何日前までに、誰に、どの書式で)
  • 面接の時間と場所。移動の時間を足して、1日・半日・時間単位のどれで足りるか
  • 応募先に、始業前・終業後・オンラインの面接を頼めるか
  • 選考が進むと面接が続くことがある。次の候補日も早めに考えておく

よくある質問

有給を使ったら、賞与の査定などで不利になりませんか?

労働基準法は、年休をとった労働者に、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないよう定めています(附則第136条)。厚生労働省は、年休をとったことを賞与の査定でマイナス評価にすることや、精皆勤手当・賞与の計算で年休の日を欠勤として扱うことは、不利益な取扱いにあたるとしています。この定めは訓示規定として設けられたもので、精皆勤手当や賞与の減額などの程度によっては、公序良俗に反して民事上無効となる場合もある、とも説明しています(確かめよう労働条件)。

パート・アルバイトでも有給はありますか?

あります。所定労働日数が少ないパートタイムの人も、所定労働日数に応じた日数の年休をとれます。週の所定労働時間が30時間以上か、所定労働日数が週5日(年217日)以上なら、一般の労働者と同じ日数です(確かめよう労働条件)。

前の年に使わなかった有給は使えますか?

年休の権利は2年間有効なので、その年度に使わなかった日数は翌年度に繰り越せます。2020年4月に賃金などの時効は延びましたが、年休の時効は2年のままです(確かめよう労働条件)。

面接の日程の調整を任せたい人へ。当サイトの比較の記事へ移動します

この記事について

この記事は、2022年4月に公開した以前の版(休むための理由の例が中心)を、2026年10月に作り直したものです。法令はe-Gov法令検索、判決は裁判所の裁判例検索、制度の説明と統計は厚生労働省の資料、転職エージェントは各社の公式サイトで確かめ、体験談や架空の事例は載せていません。リクルートエージェントへのリンク(PR)は、当サイトが紹介料を受け取る広告のリンクです。個別の事情での判断は、公的な相談窓口などに相談してください。調べて書いたのは、会社員年収向上委員会の DigitalGOAT編集部(運営:Digital GOAT株式会社)です。記事の作り方は記事制作ポリシー、運営者は運営者情報をご覧ください。

参考資料

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この記事を書いた人

Digital GOAT株式会社のWEBマーケティング支援に従事するメンバーで構成する編集チーム。厚生労働省・国税庁などの公的統計と各サービスの公開情報をもとに、年収と転職の調べ方・比べ方を整理しています。記事の作り方は記事制作ポリシーをご覧ください。

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