「転職」や「リスキリング」という言葉を多く聞くことができるようになった昨今ですが、その通り「転職は当たり前の時代」とも言われるようになりました。
しかし、それはなぜなのか。
今回は、「転職は当たり前」と言われるようになった理由や社会醸成、転職のメリットデメリットについてまとめて解説します。
転職を考えている場合にはぜひ参考にしてください。
「転職が当たり前の時代になった」と言われる理由
ではまず、「転職が当たり前の時代になった」と言われる理由について解説します。一般的に、転職が当たり前の時代になったと言われる理由は以下の4点です。
終身雇用制度の崩壊
従来(特に戦後)の日本は、働き始めてから定年になって引退するまでを一つの会社で働きづける終身雇用という制度のうえで働くことが当たり前でした。
終身雇用制度は、「日本型雇用制度」と呼ばれるように、日本独特の雇用制度であり世界的に見ても、そもそも珍しいものです。
しかし、後に詳しくご紹介する人口減少、総人口における年齢バランス・生産人口バランスの悪化、ITの発達による異常なスピードで進んだ情報化、グローバル化により先行きが見えなくなってしまい、会社が一生面倒をみるという保証ができなくなってしまいました。
日本を代表する経営者の集団である経団連や日本を代表する企業の経営者たちも、「終身雇用制度を今後も継続するのは難しい」と発言するなど、終身雇用制度はほぼ崩壊してしまっている状態なのです。
会社員としての一生を1つの会社が面倒をみてくれるわけではないため、結果どこかでは転職せざるを得なくなったり、1つの会社にしがみつく必要性が薄れてきたために転職が当たり前になってきたといえるのです。
年功序列制度の限界
終身雇用制度の話と被る部分もあり、後ほど詳しく解説しますが、年功序列制度が限界を迎え、実力主義の社会状況に変わってきているのも転職が当たり前になっている1つの要因といえます。
2000年以前の日本(特にバブルより前)では、若手社員は薄給でも、経験を積んで出世していくと段々と給料と権限、階級が上がっていき、40代後半には「いいポジションと待遇」が与えられるというのが日本の一般的な考え方でした。
若者人口が増え、最低でも各年代の人数が同数程度であればこの制度は問題なく回る見通しでしたが、出生率・出生数が年々下落し、現在では若者の人口が50代の半分程度に迫ろうかという勢いにまでなってしまっています。
今の若手ビジネスマン、新卒入社を控えた学生の間では、「年齢が上がればいいポストと待遇がついてくる」という幻想はなく、「上のポストは詰まっていて年齢だけでは雇用条件や肩書は上がらない」という認識が強くなっています。
そのため、若手層を中心にどんどんと「実力主義」の考え方になり、企業も優秀な若手社員を獲得するためには年功序列ではなく実力主義の評価に切り替えざるを得なくなり始めているため、もっと評価してくれる会社に転職するという形での転職が増えているのです。
転職へのポジティブなイメージの醸成
終身雇用制度と年功序列制度は非常に相性が良く、多くの日本人の勤勉な性格も重なり、「1つの会社に添い遂げることが会社への恩返しである」というような価値観がいつしか生まれていました。
そのため、「転職する = 裏切りである」というイメージや「転職は良くないものである」認識を持つ人が少なくありませんでした。
しかし、先述したように終身雇用制度や年功序列制度はほぼ崩壊してしまい、若手人口が減少していることから、若手の働き手ほど売り手市場(求職者有利)の求人市場になってきており、優秀な若手ビジネスパーソンほど良い条件での転職が容易になってきています。
そのため、転職を「今の会社への裏切り」と捉えるのではなく、「より評価してくれる会社に移る」というポジティブなイメージが醸成されつつあり、転職が当たり前になってきているのです。
若い業界の盛り上がり
IT業界を中心とした情報通信系の業界がここ20年ほどで一気に盛り上がったことで、若手のビジネスパーソンが就職する業界・会社の偏りが変わりました。そして、このITやテック業界は非常に若い業界であり、歴史が長い会社でも30年ほどしかありません。
そのため、良くも悪くも安定せず、急成長したり、急悪化したりすることに加え、技術の進歩のスピードも桁違いに早いため、各人材は新しいことを覚え続けたり、自分を必要としてくれる会社が別のところですぐに現れたりし、人材が安定しません。
こうした結果、歴史の浅い若い業界の会社間での人材の行き来が活発になり、その業界全体が業績をアップさせ、雇用人口自体も大きく膨らんでいるため、社会全体としても「転職するのが当たり前である」というイメージに繋がっているのです。
急激な少子高齢化とジョブ型雇用
先述したように、転職が活発になった背景には急激な人口動態の変化があります。
日本人の寿命が伸びていくことは喜ばしいことでしたが、現在の30代あたりの年代以降少子化が止まらず、生産人口(働き手)の平均年齢が一気に高齢化しています。大企業でも従来の大規模採用ができない会社も出てきており、採用活動や雇用制度の変更を検討せざるを得ない状態です。
また、日本の多くの会社は終身雇用制度を採用していたため、ほとんどのメンバーをメンバーシップ型雇用という形で、職種を限定せずに「会社に属することを求める」形での採用をしていました。
これによって、様々な職種を経験するジェネラリストを大量に育成することができた反面、1つの職種での経験を長年積んだプロフェッショナルを育成することが難しく、各分野のトップの人材を採用する枠も作りにくいという状況にありました。
しかし、各サービスや商品の寿命が短くなり、各社の先行きも見通しにくくなってきた現代において「会社に属する」だけは不安が大きいため、自ら進んで「スキルをつける」選択をするビジネスパーソンが増えてきたことから、メンバーシップ型の雇用から職種を特定したジョブ型雇用での採用を企業側も選択しやすくなってきました。
ジョブ型雇用の方が、企業側も求めるスキルや経験を提示しやすく、求職者側も経験やスキルをアピールしやすいため、転職活動時のマッチングがしやすいというメリットもあるため、転職する人材が増えてきている要因とも言えるでしょう。
転職のメリットとデメリット
ではここから、転職のメリットデメリットについてみていきます。今から転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
転職のメリット
転職のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
1つずつ詳しくみていきます。
給料アップ・雇用条件の改善が見込める
転職の1つの目的として、雇用条件の改善や給料アップが挙げられるでしょう。
会社員の給料は、業界・業種と企業規模によって大きく左右されることがわかっています。
そのため、仕事内容はほとんど変わらないのに、所属する会社を変えるだけでも会社員の給料はアップすることがあり得ます。
また、転職活動は企業側だけでなく、転職活動をする求職者側にも選ぶ権利があるため、良い条件の会社からの内定を獲得することができなければ「転職しない」という選択肢を取ることができます。
「雇用条件の改善が見込める場合にのみ転職する」ということができるため、ほぼ確実に雇用条件を改善することができるというのは、メリットといえます。
環境変化によるモチベーションアップが見込める
転職を成功させると、働く会社の場所や一緒に働くメンバー、そして自分が貢献する業界・事業内容が変わるため、心機一転でのモチベーションアップが見込めます。
転職を決意する大きな理由として、職場の人間関係が挙げられます。仕事内容や雇用条件に不満がなかったとしても、職場の人間関係に不満がある場合には、仕事に対する満足度が下がりますし、日々のストレスは溜まっていく一方です。
転職をしてしまえば一気に問題は解決します。
自分が外部からどう評価されるのか確認できる
転職のメリットというよりも転職活動をするメリットとなりますが、自分が外部からみてどのように評価されるのかを確認することができるというポジティブなポイントがあります。
会社員として1つの会社の中で日々仕事をしていると、自分のしてきた仕事やその実績、経験は今いる会社だから評価されるものなのか、それとも他社でも評価されるものなのかがわかりにくくなります。
しかし、転職活動を行えば、他社の視点での評価を聞くことができ、今いる会社よりも評価してくれる場所があるのか、もしくは今の会社が最も評価してくれる場所なのかを理解することができます。
定期的に転職活動を進めて他社の評価を聞くことで、市場価値の高い人材に成長する指標として使うことができます。
転職のデメリット
転職のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
1つずつ詳しくみていきます。
時間と労力がかかる
転職活動をしようとすれば、当たり前ですがある程度の時間と労力が必要になります。
転職活動は、転職完了まで最低でも2ヶ月程度の期間が必要です。プロフィール作成や履歴書、職務経歴書の作成、面接などの時間など細かいタスクをこなす労力も必要になります。
より良い条件の会社を探し続ける場合には、さらに長い期間も必要になるためどうしても労力や必要な時間は大きくなっていきます。
基本的には毎日の仕事に加えて転職活動のための時間・労力が必要になるというのは、1つのデメリットと言えるかもしれません。しかし、現状を変えたい場合には何かしらを変える必要があるため、必要な行動・活動なんだと割り切ると良いでしょう。
ミスマッチの転職になった場合に辛い
転職活動をして転職先の会社を決める際、雇用条件や職場環境、一緒に働くことになる人たちの雰囲気など、様々な情報をもとに決めることもあります。
しかし、よく調べることなく転職活動を終えてしまった場合には、思っていた仕事内容と違ったりや、考えていた職場環境と違っていたということが起こります。
ミスマッチの転職になった場合、仕事をする辛さや職場環境に対する辛さがすぐに出てきてしまったり、転職前より増してしまったりします。そんな場合でも、短期間で転職を繰り返すとあまり良い評価を得られないため、我慢をしなければならない場面も出てきます。
そのため、ミスマッチの転職になってしまった場合にはさらに辛くなる可能性があるということもデメリットといえます。
タイミングや条件によっては良い会社が見つからない場合もある
求人があまり出ていないタイミングや、自分の市場価値に対して求めている条件のハードルが高すぎる場合には、良い転職先を見つけることができないことも多いです。
先述したように、転職活動には労力や時間が必要になりますが、条件のハードルが高かったり、タイミングによって求人数が少ない時期に転職活動をしてしまったりすると、かけた労力と時間に対して結果が伴わないということもよく起こります。
転職活動を闇雲に進める前に、転職活動のプロである転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職相談はまず転職エージェントにしよう!
転職を検討し始めたら、転職のプロである転職エージェントにまずは相談することをおすすめします。
転職エージェントに相談することは無料ですし、良い転職先が見つけられなければ転職をしなければ特に問題はありません。また、転職エージェントを通して転職活動を進めることで、自分の時間を確保しながらの転職活動も可能です。
ここからは、当サイトがおすすめしたい転職エージェント3選をご紹介します。
doda
運営会社名 | パーソルキャリア株式会社 |
得意業界 | 全業界・業種 |
求人数 | 公開求人数:13万件以上 (2022/4/22時点) |
拠点 | 29拠点 |
利用料金 | 無料 |
dodaは、転職エージェント、転職サイト、ダイレクトスカウトの全ての機能を1つのサービスとして利用することができる転職サービスです。求人数も国内最大級でありながら、面接対策や職務経歴書の作成支援など、さまざまな支援も手厚く行ってくれるため、必ず登録することをおすすめできるサービスです。
- とりあえず転職サービスに登録しようと考えている人
- 転職実績と豊富な求人数を求めている人
- アドバイザーから専門的な転職のアドバイスを受けたい人
JACリクルートメント
運営会社 | 株式会社ジェイエイシーリクルートメント |
得意業界 | コンサルティング、管理職、各種専門職 |
対応エリア | 全国 |
求人数 | 約25,000件 (2022/4/18時点) |
JACリクルートメントは、年収600万〜1,500万円以上の求人を扱う、ハイクラス・ミドルクラスに特化した転職エージェントです。
約800名の転職コンサルタントが直接企業と求職者の双方とコンタクトを取るため、コミュニケーションの齟齬が起こりにくく、一人一人の求職者に適切な求人を紹介してくれます。
年収の高い求人が多く、ハイクラス求人に特化しているため、現在、管理職やスペシャリストとなっている人にとっては非常におすすめの転職エージェントです。
- ハイクラス求人で採用されて年収をアップしたい
- 丁寧な転職支援を受けたい
- さらに条件の良い会社に転職したい
アサイン
運営会社名 | 株式会社アサイン |
得意業界 | コンサル/IT/営業/財務・経理 |
求人数 | 明記なし |
拠点 | 東京 |
利用料金 | 無料 |
アサインは、20〜30代前半のハイクラスの転職に強みを持っている転職エージェントです。特にコンサルやIT業界、営業職への求人に強みを持っており、転職決定時の平均年収が850万円と若年層が転職で年収アップを目指す場合には、登録必須な転職エージェントといえます。
最初の面談では、キャリアの方向性や転職の希望を聞いてくれ、求人情報の紹介はありません。スキルやキャリアの方向性を合わせた求人情報を精査し、中長期的なキャリアの成功に近づける案件を3〜4社厳選して紹介してくれます。
- 20代30代から年収をアップしたい
- 中長期的なキャリアの成功に合わせて転職したい
- 営業やエンジニアなど、収入の高い業種のプロとして転職したい
まとめ
すでに現在は転職が当たり前の時代になっています。
これからさらに生産人口が減っていき、各社が人材不足を解消するために提示される雇用条件がよくなっていく可能性もあり、今後さらに転職が活発になっていくでしょう。