会社員として働いているのであれば、「少しでも年収を上げたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
しかし、「頑張って働いてもなかなか年収が上がらない」というのも事実です。そんな現実に立ち向かうべく、知るべきなのは「サラリーマンの年収・給料の決まり方」です。
どうやって年収や給料が決められているのかが分かれば、どうすれば給料が上がるのかがおのずと見えてきます。そこで今回は、年収・給料が決まる仕組みについて解説します。
会社員の給料を決める7つのポイント
サラリーマン・会社員にとって、毎月安定的に入ってくる給料は生活の糧であり、「給料のために仕事をしている」という方も少なくないでしょう。できるなら「なるべく多くの給料を手にしたい」と考えるのは、会社員として真っ当でしょう。
年収・給料はどうやって決まっているのか、あなたはご存知ですか?実は、会社員の年収・給料の決まり方には一定のルールのような要因が存在しています。そして、その要因のほとんどがあなたの努力とは全く無関係です。
地域等の生活環境
実は、会社があるエリアや会社員の方が住んでいる地域・エリアが給与という面に影響してきます。
極端な例で言えば、30年ほど前から日本のものづくり企業では、中国をはじめとするアジア諸国に工場を持つことが多くなりました。
これは日本国内に工場を持つ場合と、アジア諸国に工場を持つ場合とで比べると、アジア諸国に工場を持った方が人件費が抑えられるからですが、企業としてやっていることは、国内の工場でもアジアの工場でも同じです。しかし、アジア諸国に工場を作った方が人件費が安く抑えられるのは、その地域の物価や平均年収などに差があるからです。
これは日本国内が高い例ですが、シリコンバレーで日本企業がシステムエンジニアを採用しようとした場合、シリコンバレーで働いてもらおうと考えたら、日本国内のシステムエンジニアの年収の2倍ほどを提示しなければならないでしょう。シリコンバレーではシステムエンジニアは非常に高い給料で雇われることが多いため、それだけの報酬を提示しなければ、採用することができないのです。
日本国内でも、最低時給というものが労働者と雇用主の間で決められていますが、最低時給も地域によって差があります。もちろん、物価と給料・年収の差でどこがコストパフォーマンスがいいかという観点もありますが、「年収・給料の額」を決めるという部分には、地域や生活環境が大きく関わってくると覚えておきましょう。
役職
会社員と一括りにしても、平社員、係長、課長、部長、執行役員などさまざまな「役職」が存在しています。
多くの企業では、役職が社長に近づくほどに基本給や役職給が上がるように人事制度が設計されていますので、できるだけ上の役職についておくことが、年収アップの秘訣になります。
業界
地域等の生活環境にも近くなってきますが、企業が属する業界によっても年収は左右されます。例えば、情報通信業と運輸・郵便業の大卒初任給を比べてみますと、情報通信業の方が平均が高いことがわかります。
大卒の新卒の初任給のため、ビジネスに関する能力は大体同じ程度もしくは未知数と考えられますが、業界だけで差が出てしまいます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
例えば、「運輸業をやりたい」となった場合、運輸系事業を展開する会社の中で比較し、他の条件が同じであれば、給料の高いところに就職を希望する方が多いかと思います。しかし、この「給料が高い方」の会社の給与水準が他の業界と比べて低かったとしても、その金額で社員が採用できるのであれば、会社は無理に年収を上げて提示することはありません。
逆に言えば、高い給料を払わないと良い人材が来てくれないと考える業界は、業界全体が給与を高く設定するため、全体的に給与水準が高くなるのです。
企業規模
一般的には企業の規模が大きくなればなるほど平均年収が上がることがわかっています
これは、企業規模が大きくなると競争も激しくなりそれだけ優秀な人材が必要であるという表れでもあると言えますし、企業規模が大きい企業は大体これくらいの年収が提示されているという表れとも言えます。
また、規模が大きくなると財務体質が改善され、多少のことでは倒産の危機には陥らない可能性が高くなり、少し給与水準を上げて支払っても経営上問題がないということでもあるでしょう。
配分の方針
会社の経営は、基本的に役員と株主(株式会社の場合)によって、決定されます。
最終的には、株式会社の場合”株式”を保有している人が、会社を保有しているということになり、出資した金額以上のリターンを株主が会社に要求する形になります。
そのため、役員以下の社員が頑張って働いて会社を運営し、利益を上げたとしても、全てが社員に還元されるわけではなく、
- 不明確な将来への予備の資金
- 日々の運転資金
- 社員・役員の給与
- 株主への還元の資金
- 税金
など、どこにいくらを使うのかを計算していくことになります。
社員・役員の給与の割合がどれくらいなのか、そして人事制度上、上席にどれくらい配分することになっているのかによって、あなたの手元にやってくる給与は決められてしまうのです。
仕事の貢献度のわかりやすさ(職種・業種)
一括りに会社員と言っても、「職種」がさまざまあり、職種によっても年収・給与の枠が決められています。そして、多くの会社の人事制度・給与形態で、会社への貢献度がわかりやすい職種に多くの給与割り当て(成果報酬やボーナスを含む)がされています。
例えば、営業マンと営業事務という仕事で比較すると、営業マンは成果が売上として見えやすく会社としても評価がしやすいポジションです。しかし、同じ部署の中にいる営業事務の社員は、営業部門としては評価されますが、事務としては会社への貢献度が測りにくく、なかなか評価がしづらいのが現状でしょう。
会社は売上をできるだけ多く持ってきて、経費をできるだけ少なくすることで利益を作り出します。このどちらかへの貢献が見えやすい職種になれば給与は比較的上がりやすく、そうではない場合には、頑張って働いたとしてもなかなか上がりづらいのです。
前職での給与・年収
こちらは生活環境や役職・業界などと大きく関係してきますが、転職をする際、「前職での給与はどれくらいもらっていたのか」を軸に、転職後の年収の提示額が設定されることが多いです。
もちろん、年収が下がることも少なくありませんが、前職の年収が500万円だった人と、1000万円だった人がいた場合、後者が前者より低い提示額を受けるということはまずありません。
結局のところ、面接だけでは仕事の能力は測りきれないので、別のところ(前職等)でどう評価されているのか、されてきたのかを参考にしているのです。
会社員の給料は利益の山分け”ではない”と覚えておく
会社員の年収・給与は「利益」から出ているという話を聞いたことがあるかもしれません。これは半分合っていて、半分間違っています。ここでは合っている部分、間違っている部分を解説します。
会社で評価されるには?評価されない人の特徴と評価されるポイント5選を解説
給料は利益から出ている説とは
社員の給料は会社の利益が源泉であるという話はどういう意味なのかということを解説します。この説を理解するには、会社の決算書(特に損益計算書)を軽く理解する必要があります。簡単に下に図示します。
超大まかな損益計算書の概念は、上記の図のように、売上があり、商品作成等の原価、運営していくための販管費・・・といった具合に、売上を出すためにかかった費用をだんだん引いていって、いくら利益が出たのか?を計算する書類です。
この中で、会社員の人件費は大抵の場合「販管費」に割り当てられています。
※一部原価に入っている場合があります。
人件費を販管費として考えた場合、確かに「売上」から原価を引いた部分の利益(売上総利益(粗利))が給与の源泉になっています。この順序で考えていくと、確かに給料は会社の利益(特に売上総利益(粗利))から出ているのです。
会社として利益が出ていなくても給料は出る
では、この給料は利益から出ている説というのはどこが正しくないのかを解説します。ここでのキーポイントとなるのは、「会社がその年赤字だったとしても倒産しない限り給料は基本的に支払われる」ということです。
利益から給料が創出されるのであれば、会社が赤字だった場合には給料の源泉がないということになるでしょう。※粗利がプラスでも最終的に赤字ということはあり得ますが割愛します。
しかし、上場企業などでも赤字の企業はたくさんありますが、問題なく給与を受け取っていますし、中には昇給・昇格する会社員もいます。なぜこんなことが発生するのかというと、「会社員の給料の源泉は利益ではない」からということになります。
会社員の給料は、会社名義の銀行口座に入っている現金の金額が源泉となります。ここがなくならない限り会社は赤字でも存続できますし、社員の給料も問題なく支払われます。
例えば、ベンチャー企業の場合、創業してから数年間1度も黒字になっていない(利益が出ていない)という企業はたくさんありますが、その間も一般企業よりも高い給料でエンジニアが雇用されたり、メンバーが一気に増えていったりします。投資家から多額の出資を受けられていたり、金融機関からの融資を受けられたことで、現金が増えていることで、赤字でも給料を支払うことができるのです。
利益を創出する社員が評価される(されやすい)は本当
会社の利益に貢献することが無駄なのかというと、全くそんなことはありません。むしろ、利益を出してくれる社員には積極的に給与を増額したいと考えている経営者は少なくありません。
赤字だとしても現金さえあれば会社員への給与支払いはできるし、昇給の可能性もありますが、赤字が続いた場合、融資 or 出資によってどうにか現金を集めない限り、いつか給与の原資である会社の現金は枯渇してしまいます。
そこで重要なのが会社の事業から利益を創出することです。会社の事業から利益が創出できれば、現金を増やすことができ安定的に会社運営をすることができます。また、会社の最終的な目的は会社に利益(現金)を残していくことになりますので、目的も達成できることになります。
そのため、売上を向上させられる人や経費を削減できる人、効率化を図れる人は、会社の現金のあるなしに関わらず、評価されやすいのです。
給料UPを目指すなら転職は現実的な選択肢
ここまで、会社員の給料・年収がどうやって決まるのかを見てきました。会社の規模や業種・業界、役職などなかなかご自身の努力では変えられない部分が多いことにお気づきになられたのではないでしょうか?
会社員として給料を上げていくのは難しく、運命や時間に任せるしかないのかというと、全くそんなことはありません。転職という手段を使って、業種や企業規模を変えれば、仕事内容は変わらなくても給料アップが狙えますし、一時的に給与が下がる可能性はありますが、業種を変えて活躍できれば、給料が青天井に伸びていく可能性もあります。
給料をできるだけ早くアップさせたい!と考えるのであれば、転職はごくごく一般的な選択肢なのです。しかし、ただ転職をすれば年収が確実に上がるわけではありません。会社員の転職にも年収アップのための戦略が不可欠です。
年収アップのためのおすすめの転職エージェント
ここまでもご紹介したように、収入アップを考えるのであれば、転職は非常に妥当な選択肢になります。
転職を検討する際には、無料で転職のアドバイスをくれたり、求人情報の紹介、求職者の手間を省くような支援をしてくれる、転職エージェントの登録はほぼ必須といえます。
ここでは、おすすめの転職エージェントを3つご紹介します。
doda
運営会社名 | パーソルキャリア株式会社 |
得意業界 | 全業界・業種 |
求人数 | 公開求人数:13万件以上 (2022/4/22時点) |
拠点 | 29拠点 |
利用料金 | 無料 |
dodaは、転職エージェント、転職サイト、ダイレクトスカウトの全ての機能を1つのサービスとして利用することができる転職サービスです。求人数も国内最大級でありながら、面接対策や職務経歴書の作成支援など、さまざまな支援も手厚く行ってくれるため、必ず登録することをおすすめできるサービスです。
- とりあえず転職サービスに登録しようと考えている人
- 転職実績と豊富な求人数を求めている人
- アドバイザーから専門的な転職のアドバイスを受けたい人
マイナビエージェント
運営会社名 | 株式会社マイナビ |
得意業界 | 全業界・業種 |
拠点 | 10拠点 |
利用料金 | 無料 |
マイナビエージェントは、キャリアが浅い20代の転職に強みに強みを持っている転職エージェントです。書類作成や面接対策を丁寧に行ってくれるため、初めての転職でも成功に向けて動き出せます。マイナビは、就職活動においても有名であるため、利用者としても安心感があるでしょう。
リクルートエージェントなどと比較すると、求人数が少なく感じますが、特殊な条件でない限り、特に問題は感じないでしょう。
- 20代30代で転職を考えている
- 初めての転職を検討している
- 丁寧なサポートが欲しい
リクルートエージェント
運営会社名 | 株式会社リクルート |
得意業界 | 全業界・業種 |
求人数 | 公開求人数:180,000件以上(2022/4/22時点) |
拠点 | 16拠点 |
利用料金 | 無料 |
リクルートエージェントは、公開非公開合わせて30万件を超える、日本最多クラスの求人数を常に扱っている転職エージェントです。非常に広い媒体に広告掲載を行い、認知拡大を図っているので、ご存じではないでしょうか。
非公開求人だけでも20万件を超えており、他の転職サービスを圧倒する求人数を誇ります。書類の支援なども受けられるため、条件の良い求人情報に出会うためにも登録は必須といえるでしょう。
- できるだけ条件の良い求人情報に出会いたい
- 知名度の高いサービスを使いたい
- どの業界に転職するか決めかねている人
▼大手エージェント比較表▼
エージェント | doda | リクルートエージェント | パソナキャリア | type転職エージェント | マイナビエージェント |
おすすめ度 | (5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (4.0 / 5.0) | (4.0 / 5.0) | (3.5 / 5.0) |
得意領域 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 20代 全業界・職種 |
特徴 | 求人数国内最大級 転職サイト・エージェント・スカウトサービスを1回の登録で利用できる | 求人数国内No.1 | オリコン顧客満足度3年連続No.1 | 31万人以上の転職支援実績 | 若手向け転職求人を多数取り扱う |
書類作成支援 | あり | あり | あり | あり | あり |
面接支援 | あり | あり | あり | あり | あり |
適正年収測定 | あり | あり | あり | あり | なし |
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平均年収の高い業界・職種を選ぶのが近道
戦略として最も適切で素早いのが、平均年収の高い業界・業種を選んで転職するという方法です。平均年収が高いということは、
- 利益に対する人件費の割合が高い
- 業界自体が高収入体質
- 業種が人手不足
可能性が高いため、あなたがそこに転職しても、ある程度高い年収が期待できるため、ここを狙うべきと言えます。
では、実際にどんな業界・業種の平均年収が高いのかは、こちらを参考にしてみてください。