「できることなら年収の高い仕事に就きたい」そう考えたことがあるのではないでしょうか。今と仕事内容や時間が変わらず、責任も増えないのであればもう少しお金が欲しいと思うのは普通のことでしょう。
しかし、どんな業界・職種であれば高年収が実現できて、どうやってそういった仕事を見つけられるのかを考えたことがある方は少ないはず。
この記事では、年収が高い業界・職種の紹介・解説と年収が高い仕事に就くためのポイントをご紹介します。
日本の平均年収は433万円
まず、日本の会社員の平均年収についてみていきましょう。
2021年9月に国税庁より発表された「令和2年分 民間給与実態調査統計」によると、平均年収は433万円、男性532万円、女性293万円となっています。
内訳として、平均給料・手当は369万円、男性449万円、女性254万円。平均賞与は65万円。男性83万円、女性39万円です。
この金額を基準に、平均年収の高い業界や職種を見ていきます。
平均年収の高い業界
平均年収の高い業界を、「令和2年分民間給与実態調査統計」から紐解いていきます。
上記から、平均年収を超えているのは電気・ガス・熱供給・水道業、金融,保険業、情報通信業、建設業、学術研究,専門・技術サービス業、教育、学習支援業、製造業、複合サービス事業、運輸,郵便業とわかり、平均年収の約1.5倍程度となる年600万年を超えているのは、電気・ガス・熱供給・水道業、金融、保険業,情報通信業のみとわかります。
しかし、この区分だけだと範囲が広いのでもう少し具体的に一般に年収の高いとされている業界を見ていきます。
M&A仲介
近年高給取りとして認知されてきているのが、M&A仲介。2022年1月に出された、東洋経済オンラインの記事である「最新!「30歳年収」ランキング全国トップ500社」の記事でもトップ10のうち4社はM&A仲介会社であり、1位のM&AキャピタルパートナーズもM&A仲介会社となっています。
経営コンサルティング・金融業界に位置している分野です。日本の99%の会社は中小企業ですが、中小企業経営者の平均年齢が60歳を超えており、後継問題が顕在化してきています。
M&A仲介会社は、そんな後継問題に直面するような会社と、良い中小企業を買収したいと考えている企業の間に立ってM&Aの契約を締結する役割を担っています。
1つの案件が半年以上かかることが多いですが、1件あたりの売上が数千万円になることも少なくないため、1人あたりの利益額が大きく、営業マンやコンサルタントに多額のお金が支払われることが多いです。
経営コンサルティング
企業の経営改善のために、財務や人事、経営戦略などあらゆる面において支援することが本業なのが経営コンサルティングの業界です。
どの分野の支援を強みとするのかはその会社によりますが、M&A仲介と同じように仕入れや商品制作費(原価)のようなものがかからないにも関わらず、1人の営業 or コンサルタントが月間で数百万円の売上を出すことも当たり前の業界であるため、年収も引き上がっています。
インフラ系
令和2年分民間給与実態調査統計結果でも見えたように、電気・ガス・水道といったインフラ分野の会社は「需要が常にあり、衰退しにくい」業種であるため、安定した収益が見込め、年収が高く設定されてきています。
電力自由化など、業界を賑わす話題はありますが、安定した需要があるため、今後も高い年収が期待できる業界といえます。
商社
総合商社と専門商社として、扱う商品によって呼び方は変わりますが、商社という業種も高年収としてよく知られています。
特に総合商社は規模が非常に大きく、何をやっている会社かというのを一言で表しにくい場合も多いですが、商社では扱う金額が大きいため、利益率が低かったとしても1人の社員が出すことのできる利益が大きくなり、年収も跳ね上がるような傾向にあります。
金融・保険業界
金融・保険業界も年収の高い業種として認知されているでしょう。他の年収の高い業界と同じように、1人の社員が扱える金額が大きく、利益率が小さくなったとしても利益額が大きくなるため年収に対するインパクトが大きいと言えます。
お金を使ってお金を稼ぐような事業モデルであるため、レバレッジが効いており大きな金融機関であればあるほど1人の人が稼ぐことのできる金額が上がりやすいという業界でもあります。
IT事業会社
2000年から世界的に立ち上がってきたのがIT業界です。
ITといってもエンジニアを抱えているSIerや設計のみをしている上流工程企業、WEB系サービスを提供する会社などがありますが、WEB系の事業を展開する会社は、時間と共に1人あたりが出せる売り上げが大きくなっていきますので、年収が高くなっていく傾向があります。
また、日本では特にシステムエンジニアの人手不足が叫ばれていますので、Slerと呼ばれる受託や派遣をするような会社の下流工程の企業に入らない限り、一定程度の年収が確保される傾向にあります。
広告代理店
電通・博報堂を中心に高年収業種として知られているのが広告代理店です。基本的に仕入れなどがない事業モデルが多く、営業力とクリエイティブ力で大きな売上を出すことができるため、社員への還元率は高い傾向にあります。
2022年現在、雑誌、TV、ラジオ、新聞、WEBとさまざまな広告媒体があり、全てを取り扱うような会社からWEB専門までさまざまありますが、どの分野の広告代理店であっても全ての仕事が「クライアントワーク」になるため、長時間労働になることが多いです。
平均年収の高い職種
次に、比較的年収が高くなりやすい職種を見ていきます。
営業
多くの企業で「インセンティブ(成果報酬)」が設定されており、成果次第で大きく稼ぐことができる職種です。
多くの企業にとって「仕事をとってくる」「お客様を見つけてくる」というのはそれだけ大変で非常に価値のある仕事であるため、インセンティブをつけていることが多いです。保険業界のフルコミッションの営業職であれば、トッププレイヤーで年収が億単位に到達することも珍しくありません。
参考:営業職の年収は?年収アップのコツや向いている人を徹底解説
コンサルタント
顧客と接点を持ちながら、顧客の要望を叶えられるような施策や対策を考え実行する仕事になります。ただし、会社や契約によってコンサルタントの仕事範囲は変わるため、実務まで入る場合もあれば、対策の設計をする部分で終わることもあります。
高額な月額料を顧客から得られることも少なくなく、数件の顧客を抱えているだけで年収が数千万円に到達することもあります。M&A仲介会社のコンサルタントは、フィー数千万円のM&Aを2,3件ほど成約させることで年収が2,000万円に到達することもあるなど、営業マンに近い報酬体系で仕事をしている場合が多いです。
システムエンジニア
優秀なシステムエンジニアは、引き手数多であり自然と年収が上がっていく傾向にあります。
2000年以降、システム構築の需要自体が多いですが、優秀なエンジニア一人で成し遂げる仕事の成果が非常に大きいため、エンジニアの中でもトップ層は数千万円以上の年収を獲得していることも少なくありません。
GAFAなどの超大手IT企業は高待遇で世界中の優秀なエンジニアを採用しており、過去にはインド工科大学を卒業したばかりのエンジニアに対して、Googleが初年度の年俸で3,000万円以上を提示したことも話題になりました。
日本においては世界のトレンド以上にエンジニアが不足していると言われており、一部の優秀なエンジニアには高額の報酬が提示されていますが、他の職種からエンジニアへの転職をする人も多く出てきており、ある程度の業務ができれば、1,2年で前職の年収を超えることも珍しくありません。
マーケター
日本の企業においてマーケターはこれまで「広告をやる人」という認識がなされていたことが多く、あまり注目されてきませんでしたが、インターネットが発達し、さまざまな方向で企業がコミュニケーションをとっていかないと商品・サービスが売れなくなってきた現代において、優秀なマーケターの需要が非常に高騰してきています。
特に、新型コロナウイルスの蔓延によって、飛び込み営業など従来の営業手法ができなくなった状態で、商品やサービスを販売していくにはマーケティング(特にデジタル)の力が必要であるということが明確になったため、現在非常に需要が伸びている仕事です。
お金を使って見込み客を獲得するという部分に力を注ぐ仕事であることが多く、1人の社員が残せるインパクトが大きいため、成果を残せば大きく年収を伸ばせることが多いです。
経営企画
企業の中で経営戦略や社外秘の情報を扱ったりするタスクが多い仕事です。
経営者の近くで働くことが多く、1つ1つの仕事が非常に大きな内容に発展することが多く、成果を挙げれば評価されやすい職種であると言えます。
経営企画というポジションがある会社自体が規模の大きな会社であることが多いのも年収が高い一つの理由と言えるでしょう。なかなか若年層で経営企画のポジションに就ける人は少なく年齢を加味された給与として高額の年収をもらっている人もいます。
独占業務資格
通常の仕事とは少し離れた内容にはなりますが、一部の独占業務は高年収になりやすいです。税理士、弁護士(検察,裁判官)、医師、公認会計士などは典型的な例と言えます。
どうしても資格合格者のみしか行うことができないため、需要に対して供給量が少なく価格の競争も働きにくい内容であるため、報酬・収入が高額になります。
独占業務は、資格合格者の特権であるため、目指すのであれば相応の勉強が必要になるでしょう。
年収の高い仕事に就くポイント
年収の高い仕事に就くポイントをご紹介します。
詳しくはこちらの記事もお読みください。
年収の高い職種への転職を試みる
まずは職種の変更を検討しましょう。30代以下であれば、職種を変えての転職もまだ問題なく受け入れてくれる会社はあるでしょう。
エンジニアや経営企画などはある程度実力を提示しなければなかなか採用してもらいにくいのが実情ですが、営業などの仕事はある程度経験がなくてもその人の素質で受け入れてくれることがあります。
もし、エンジニアや企画・マーケティングなどの経験がある程度必要な仕事に転職しようと考えるのであれば、スクールなどに通って最低限の知識と経験は身につけておくことをおすすめします。
成果が評価しやすい職種への転職を試みる
年収が比較的高額になりやすい仕事だとしても、成果が分かりづらい仕事が少なくなく、エンジニアや経営企画などは、成果という面で評価されにくい側面も持っています。
そのため未経験でこういった仕事に転職をしてもなかなか評価してもらいにくく、結果的にそこまで年収が上がらないということもあります。
成果が分かりやすい仕事をできるだけピックアップして転職をするのが、年収を向上させる上では重要でしょう。営業やマーケターなどは数字で確実に成果がわかるため、評価者にアピールがしやすい職種と言えます。
成果報酬の割合が高い会社へ転職を試みる
2022年現在、これまでよりは年功序列といった考え方は減ってきましたが、それでも日本国内の多くの企業は「年齢」や「社歴」で給料を決める制度を持っています。
しかし、年収をできるだけ早く向上させるためには、年功序列の評価の仕組みではなく、成果報酬の割合が高かったり、給与面を人事や代表者と交渉できるような制度を持っている会社を選ぶことが望ましいです。
給与テーブル以外のところで、報酬や給与を上げる仕組みを持っている会社で働き、成果を出していくことが、早急に年収を向上させる(年収が上がりやすい仕事に就く)という面ではポイントとなります。
年収の高い業界の中小企業へ転職を試みる
成果報酬の割合が高かったり、成果が見えやすい職種であったりを選んでも、最終的には業界(事業モデル)としてどれだけ利益が出て、そのうちどれくらいを社員に還元できるのかによって、会社員の収入の上限は決まってしまいます。そのため、平均年収の高い業界に入社するのがポイントです。
ただし、平均年収が高い業界の大手企業はそれだけで非常に多くの志願者が集まりますので、未経験で採用されるのはなかなか厳しいというのが実情です。
そのため、未経験で高年収業界に転職しようと思った場合には、大手ではなく同じ業界の中小企業に入社してみましょう。同じような事業モデルであればある程度社員に利益を還元できるような仕組みになっているでしょうし、そこで経験を積んで大手に転職して高年収を獲得するという未来も描くことができます。
おすすめの転職エージェント
年収アップの転職を考える際には、転職のアドバイスをしてくれたり、求人情報の紹介や、各種手間を省くような支援をしてくれたりする、転職エージェントに登録することがポイントです。
ここでは、おすすめの転職エージェントを3つご紹介します。
doda
運営会社名 | パーソルキャリア株式会社 |
得意業界 | 全業界・業種 |
求人数 | 公開求人数:13万件以上 (2022/4/22時点) |
拠点 | 29拠点 |
利用料金 | 無料 |
dodaは、転職エージェント、転職サイト、ダイレクトスカウトの全ての機能を1つのサービスとして利用することができる転職サービスです。求人数も国内最大級でありながら、面接対策や職務経歴書の作成支援など、さまざまな支援も手厚く行ってくれるため、必ず登録することをおすすめできるサービスです。
- とりあえず転職サービスに登録しようと考えている人
- 転職実績と豊富な求人数を求めている人
- アドバイザーから専門的な転職のアドバイスを受けたい人
アサイン
運営会社名 | 株式会社アサイン |
得意業界 | コンサル/IT/営業/財務・経理 |
求人数 | 明記なし |
拠点 | 東京 |
利用料金 | 無料 |
アサインは、20〜30代前半のハイクラスの転職に強みを持っている転職エージェントです。特にコンサルやIT業界、営業職への求人に強みを持っており、転職決定時の平均年収が850万円と若年層が転職で年収アップを目指す場合には、登録必須な転職エージェントといえます。
最初の面談では、キャリアの方向性や転職の希望を聞いてくれ、求人情報の紹介はありません。スキルやキャリアの方向性を合わせた求人情報を精査し、中長期的なキャリアの成功に近づける案件を3〜4社厳選して紹介してくれます。
- 20代30代から年収をアップしたい
- 中長期的なキャリアの成功に合わせて転職したい
- 営業やエンジニアなど、収入の高い業種のプロとして転職したい
JACリクルートメント
運営会社 | 株式会社ジェイエイシーリクルートメント |
得意業界 | コンサルティング、管理職、各種専門職 |
対応エリア | 全国 |
求人数 | 約25,000件 (2022/4/18時点) |
利用料金 | 無料 |
JACリクルートメントは、年収600万〜1,500万円以上の求人を扱う、ハイクラス・ミドルクラスに特化した転職エージェントです。
約800名の転職コンサルタントが直接企業と求職者の双方とコンタクトを取るため、コミュニケーションの齟齬が起こりにくく、一人一人の求職者に適切な求人を紹介してくれます。
年収の高い求人が多く、ハイクラス求人に特化しているため、現在、管理職やスペシャリストとなっている人にとっては非常におすすめの転職エージェントです。
- ハイクラス求人で採用されて年収をアップしたい
- 丁寧な転職支援を受けたい
- さらに条件の良い会社に転職したい
▼大手転職エージェント比較表▼
エージェント | doda | リクルートエージェント | パソナキャリア | type転職エージェント | マイナビエージェント |
おすすめ度 | (5 / 5.0) | (4.5 / 5.0) | (4.0 / 5.0) | (4.0 / 5.0) | (3.5 / 5.0) |
得意領域 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 全業界・職種 | 20代 全業界・職種 |
特徴 | 求人数国内最大級 転職サイト・エージェント・スカウトサービスを1回の登録で利用できる | 求人数国内No.1 | オリコン顧客満足度3年連続No.1 | 31万人以上の転職支援実績 | 若手向け転職求人を多数取り扱う |
書類作成支援 | あり | あり | あり | あり | あり |
面接支援 | あり | あり | あり | あり | あり |
適正年収測定 | あり | あり | あり | あり | なし |
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まとめ
この記事の内容をまとめると、
- 高年収の業界に入社するのがまず先決
- 高年収の職種であることが今後の年収を伸ばす秘訣
- 会社員として年収を向上させたいなら戦略的に転職を検討するべき
となります。今後、ご自身の年収向上を検討する際にお役立てください。
キャリアの相談を専門に行っているサービスもあります。無料相談もできますので、まずはプロにご相談いただくのが良いでしょう。